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自転車で暮らす:栃木・東京ほか都市の生活費を比べる

走る · 公開 2026-10-25

集合住宅の屋根付き駐輪場に並ぶ、前かごの付いた銀色のシティサイクルと数台の自転車
集合住宅の駐輪場に並ぶシティサイクル。自転車で暮らすなら、住まい選びの段階で置き場所も確かめたい。写真:acopbc/CC0

自転車を日々の足にすると、暮らしの費用はどう変わるのでしょうか。家賃が安い地方都市は車がないと不便だと言われ、家賃が高い東京は自転車と電車で暮らせると言われます。本記事では、宇都宮市と東京都区部を中心に、隣県の前橋市、自転車利用の多い京都市を加えた4都市を、総務省統計局などの公的統計で比べます。

ここで使う数字は、いずれも公表時点の統計値です。家賃は市内の民営借家全体の平均で、駅からの距離や築年数による差は含まれていません。実際の物件探しでは、個別の条件を必ず確認してください。

家賃:3.3㎡当たりで比べる

総務省統計局の小売物価統計調査(動向編)は、都道府県庁所在市などで民営借家の家賃を毎月調べ、3.3㎡(1坪)当たりの月額として公表しています。2025年の年平均は次のとおりです(e-Stat、2026年4月24日公開)。

都市民営家賃(3.3㎡・月額)30㎡に換算した目安
宇都宮市4,255円約3万9千円
前橋市3,861円約3万5千円
京都市5,961円約5万4千円
東京都区部9,803円約8万9千円

30㎡換算は、3.3㎡当たりの額を面積で単純に掛け合わせた目安です。同じ広さなら、東京都区部の家賃は宇都宮市の約2.3倍になります。県内では小山市も調査対象で、2025年平均は3,797円でした。

全国の水準は、5年ごとの住宅・土地統計調査でわかります。2023年調査では、借家(専用住宅)の1か月当たり家賃は全国平均59,656円で、2018年より7.1%増えました。民営借家(非木造)に限ると68,548円です。

移動の費用:ガソリンとバス

家賃の差を打ち消すと言われるのが、車にかかる費用です。家計調査(二人以上の世帯)の品目別ランキングから、2023〜2025年平均の1世帯当たり年間支出を見てみます。

都市ガソリンバス代
宇都宮市99,142円1,668円
前橋市102,136円1,287円
京都市38,695円3,362円
東京都区部21,767円4,284円
全国71,200円2,866円

宇都宮市のガソリン支出は52の比較都市のうち8番目に多く、購入量も年609リットルと、東京都区部(132リットル)の4倍を超えます。逆にバス代は東京都区部の半分以下です。ガソリン代は車の費用の一部にすぎず、車両の購入費、保険、税金、駐車場代は別にかかります。

この表は、地方都市で暮らすときに自転車が持つ意味を示しています。家賃の安さはそのままに、日常の移動の一部を自転車に置き換えられれば、支出のうち最も大きく動かせる部分に手が届きます。東京では、もともと車の費用が小さいかわりに家賃が家計の中心になります。

規模を比べてみましょう。30㎡の部屋なら、東京都区部と宇都宮市の家賃の差は月に約5万円です。一方、宇都宮市の世帯のガソリン支出は年99,142円、月にすると約8,300円です。ガソリン代だけを見れば、家賃の差のほうがはるかに大きいことになります。ただし、家計調査の数字は二人以上の世帯の平均で、車を2台以上持つ世帯も、持たない世帯も含んでいます。

自転車と車の値段を並べる

同じ小売物価統計調査には、自転車そのものや駐車場の料金も含まれています。2025年の年平均価格を並べると、自転車の値段に都市による大きな差はなく、差が開くのは車を置く費用とバスの運賃です。単位は円で、シティ車は3段変速の26・27型、月極駐車場は屋根なしの1か月分、バスは一般路線バスに大人が7km乗る1回分の運賃です。

都市シティ車月極駐車場バス
宇都宮55,58714,167470
前橋44,6118,333450
京都52,75214,167230
東京区部49,67827,287224

電動アシスト自転車(26型・3段変速)の平均価格は、宇都宮市132,626円、前橋市129,932円、京都市147,622円、東京都区部132,188円でした。宇都宮市なら、1台の価格は月極駐車場代のおよそ9か月分にあたります。バスは東京都区部や京都市では均一運賃が多いのに対し、宇都宮市や前橋市では距離によって運賃が上がるため、7km乗ると2倍ほどになります。郊外から中心部へ通う距離が自転車の守備範囲に入るかどうかが、地方都市での家計を左右します。

走りやすさ:宇都宮と東京の計画

宇都宮市は「第2次宇都宮市自転車のまち推進計画」(2021年度からの10年間)で、市道の自転車走行空間を2020年度の51.3kmから2030年度に123.3kmへ広げる目標を掲げています。一方で、同じ計画によると通勤・通学の自転車分担率は2010年の17%から2019年には13.3%に下がり、外出時の交通手段ではクルマが77%を占めます。市民調査で、自転車を快適に使える距離として最も多かった答えは3〜5kmでした。

2023年8月26日には、宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ宇都宮ライトレールが開業し、計画では停留場付近の駐輪場整備も挙げられています。自転車と公共交通を組み合わせれば、車に頼らない暮らしの選択肢は広がっています。

東京都は、2021年5月に策定した「東京都自転車通行空間整備推進計画」にもとづき整備を進めており、2024年度末までの整備実績は合計約413km、2030年度までに優先整備区間約250kmを整備するとしています(東京都建設局、2025年9月30日の進行状況報告)。交通量の多い都心では、走行空間に加えて駐輪場の確保と費用も考えておく必要があります。

自転車で暮らすための固定費

住む街をどう選ぶか

統計からわかるのは平均です。同じ宇都宮市でも、職場や駅まで5km以内に住めるかどうかで、自転車中心の暮らしが現実的かは大きく変わります。住む街を決める前に、候補の都市を家賃や通勤のしやすさで並べて比べておくと、数字だけでは見えない暮らし方の違いが整理しやすくなります。週末に輪行で候補地を走ってみるのもよい方法です(輪行の基本)。

参考資料

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