レースの記録

ジャパンカップと宇都宮の自転車文化

レースの記録 · 公開 2026-10-24

田畑と林の向こうに、ぎざぎざの稜線を持つ山が青空を背にそびえる風景
鹿沼市の北郊から見た古賀志山。ジャパンカップの勝負どころ・古賀志林道はこの山の麓を上る。写真:駅弁/CC BY 3.0

栃木県の県庁所在地・宇都宮市は、国内で最もロードレースが身近な都市のひとつです。毎年秋には国際レース「ジャパンカップサイクルロードレース」が開かれ、市内には地域に根ざしたプロのロードレースチームが拠点を置いています。2017〜2019年に県内全域で開かれたステージレースも、この土壌の上に生まれました。この記事では、宇都宮の自転車文化がどのように形づくられてきたのかを整理します。

本サイトはジャパンカップの主催者とは関係ありません。開催日程、観戦方法、交通規制などの最新情報はジャパンカップサイクルロードレース公式サイトで確認してください。

起点は1990年の世界選手権

宇都宮と国際ロードレースの結びつきは、1990年に日本で開かれたUCIロード世界選手権にさかのぼります。この大会のロードレースは宇都宮市の森林公園周辺のコースで行われました(1990 UCI Road World Championships)。世界選手権は、海外のトップ選手が日本の公道を走る姿を多くの人が目にする機会となりました。

この世界選手権を記念し、その遺産を引き継ぐ形で始まったのがジャパンカップです。以来、同じ森林公園周辺のコースを使って、毎年秋に国際レースとして開かれてきました。

ジャパンカップの特徴

アジア屈指の格付け

ジャパンカップは1日で勝負が決まるワンデーレースで、アジアで開かれるワンデーレースとしては最上位クラスの格付けを受けてきました。現在はUCIの「プロシリーズ(ProSeries)」に位置づけられ、ヨーロッパのワールドチームも来日して出場します。2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で開催が見送られました。大会の歴代優勝者や格付けの変遷は、Wikipedia日本語版の記事とその出典で確認できます。

古賀志林道の上り

コースは宇都宮市西部の森林公園を中心とした周回路で、1周およそ10km。その中に含まれる古賀志林道の上りが最大の勝負どころです。周回のたびにこの坂を越えるため、回を重ねるごとに選手がふるい落とされていきます。坂の沿道は観客で埋まり、ヨーロッパのレースのような熱気に包まれることで知られています。

前日のクリテリウム

本戦の前日には、宇都宮市の中心市街地を舞台にした短い周回レース(クリテリウム)が行われるのが恒例となっています。ふだんは車が行き交う大通りを選手が高速で周回する光景は、市街地で手軽に観戦できることもあって、多くの観客を集めています。

地域密着型のプロチーム

宇都宮には、地域に根ざしたプロのロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」が拠点を置いています。2008年に設立され、日本で最初の地域密着型プロロードレースチームとされています(Wikipedia、チーム公式サイト)。チームはレース活動に加え、自転車教室や交通安全の啓発、地域イベントへの参加などを通じて、市民と自転車の距離を縮める役割を担ってきました。

県北の那須地域にも、那須ブラーゼンという地域密着型のチームがあります。2018年の県内のステージレースには、この二つのチームと栃木県選抜チームが地元から出場を予定していました(大会の歩み)。地元のチームが地元の道を走ることは、沿道の声援を大きくする要素のひとつでした。

「自転車のまち」としての取り組み

宇都宮市は、レースの開催にとどまらず、自転車を日常の移動手段や観光資源として位置づける施策を進めてきました。サイクリングコースの案内、自転車通行空間の整備、レンタサイクルなどがその例です。具体的な施策や現在の取り組みは宇都宮市の公式サイトで確認できます。

また、宇都宮は夏の雷が多いことから「雷都(らいと)」とも呼ばれます。夏場に市内や周辺を走るときは、午後の急な雷雨に備えて天気予報や雨雲レーダーをこまめに確認するのが地元のサイクリストの習慣です(季節ごとの注意点)。

ジャパンカップのコースを走る

レースの周回路は、ふだんは一般の道路です。森林公園周辺は、古賀志林道の上りを中心に、自分の脚でレースの舞台を体験しようとするサイクリストが訪れる場所になっています。走る際には次の点に注意してください。

観戦に行くなら

ジャパンカップの観戦では、古賀志林道の坂の沿道、スタート・フィニッシュ地点、前日のクリテリウムの市街地コースがよく知られた場所です。会場周辺は大会当日に交通規制が行われ、駐車場やシャトルバスの運用も大会ごとに案内されます。観戦全般の心得は「沿道観戦の場所選び」、規制の仕組みは「交通規制はどう決まるのか」をあわせて読んでください。