日光いろは坂を自転車で上る前に:道の仕組みと注意点

日光市の中心部から中禅寺湖へ上る「いろは坂」は、連続するヘアピンカーブで知られる道です。観光道路として有名なだけでなく、栃木県を代表するヒルクライムの舞台として、多くのサイクリストが挑戦しています。ここでは、走る前に知っておきたい道の仕組みと注意点をまとめます。
道路の通行規制、工事、冬季の状況は年によって変わります。出かける前に、道路管理者や日光市、栃木県の最新情報を確認してください。
二本の一方通行路
いろは坂は、上り専用の「第二いろは坂」と下り専用の「第一いろは坂」の二本で構成されています。どちらも一方通行で、自転車も同じ規制に従います。上りたいときは第二いろは坂、下りるときは第一いろは坂を使うことになり、同じ道を往復することはできません。
二つの坂を合わせると48のカーブがあり、それぞれのカーブには「い」「ろ」「は」……と、いろは歌の文字を記した標識が立っています。これが名前の由来とされます(Wikipedia「いろは坂」)。上りの途中でカーブの文字を数えていくのは、ペースを保つ目安にもなります。
標高差とペース配分
坂のふもとの馬返(うまがえし)付近から上の中禅寺湖畔までの標高差は、およそ400〜450mとされています。中禅寺湖の湖面は標高約1,270mで、日光の市街地とは気温に明らかな差があります。勾配は場所によって変わり、ヘアピンカーブの内側は特に急になります。
- カーブの内側は勾配がきつく、車も内側に寄りやすいため、やや外側寄りのラインを一定に保つと走りやすくなります。ただし後続車には常に注意を払ってください。
- 前半で飛ばすと後半の直線的な区間でつらくなります。会話ができるくらいの強度から始めるのが無難です。
- 上りの途中に明智平(あけちだいら)があり、休憩をとることができます。
車との共存
いろは坂は観光道路であり、観光バスや乗用車の交通量が多い道です。自転車は車線の左側を走り、追い越しを受けることを前提に、ふらつかない走行を心がけましょう。並走は禁止されています。カーブの手前で後ろから大型車が近づいたときは、無理をせず、安全な場所で先に行かせる判断も必要です。
トンネルや日陰の区間では、車から自転車が見えにくくなります。日中でも前後のライトを点灯し、明るい色の服装やリフレクターで存在を知らせることが重要です。
季節ごとの注意
紅葉の時期
秋の紅葉シーズンは、いろは坂周辺が一年で最も混雑する時期です。週末には上り車線が長い渋滞になることがよく知られています。渋滞の脇を自転車ですり抜けるのは、ドアの開閉や車の急な車線変更で危険を伴います。この時期に走るなら、早朝の時間帯を選ぶ、平日を選ぶなどの工夫が欠かせません。
冬季
冬の奥日光は積雪や路面の凍結があり、自転車での走行には適しません。日中に雪が解けていても、日陰や朝夕は凍結が残ることがあります。奥日光から群馬県側へ抜ける国道120号の金精道路は、例年冬季に通行止めになります。冬に山へ向かう計画は立てないのが基本です。
春と初夏
平地が暖かくなっても、中禅寺湖畔は肌寒いことがあります。上りで汗をかいたまま下ると体が冷えるので、ウィンドブレーカーなど一枚羽織るものを必ず持っていきましょう。
夏
平地より涼しく、夏のヒルクライムとしても人気があります。ただし午後は雷雨の可能性が高まる日もあります。山の天気は変わりやすいので、天気予報を確認し、雷鳴が聞こえたら建物に避難してください。
下り:第一いろは坂
下り専用の第一いろは坂は、急なヘアピンカーブが続きます。上りよりも事故のリスクが高いのが下りです。
- カーブの手前の直線で十分に減速し、カーブの中ではブレーキをかけすぎない。
- 長い下りではブレーキが熱を持ちます。前後のブレーキを交互に使い、ときどき止まって休ませるのも一案です。特にリムブレーキの場合は注意が必要です。
- 落ち葉、砂、湿った路面は滑りやすい。濡れた白線や金属製のマンホールの上でも注意。
- 前を走る車との車間距離を十分にとる。
下りに自信がない場合は、無理をせず、自分のペースで走ることを最優先にしてください。
補給と装備
- 中禅寺湖畔には飲食店や商店がありますが、坂の途中では補給できる場所が限られます。水分は上る前に確保しておきましょう。
- パンク修理道具、予備チューブ、携帯ポンプは必携です。
- 前後ライト、ウィンドブレーカー、指切りでない手袋(春秋)があると安心です。
日光周辺のレースの記憶
2017〜2019年に県内で開かれた国際ステージレースでも、日光市は重要な舞台でした。2017年の第1ステージは日光だいや川公園をスタートし、日光市から鹿沼市にかけての山岳区間を経て足利市へ向かいました。2018年の第2ステージは日光だいや川公園がフィニッシュでした(コースの記録)。いろは坂そのものはコースに含まれていませんでしたが、日光周辺の山あいの道がレースを動かす区間として使われていたことがわかります。
電車で日光へ向かい、そこから走り始める方法については「輪行の基本」を参照してください。


